浜松を「若者がチャレンジできるまち」にするために

はじめに

皆さんこんにちは。山口です。今回のコラムはいつもと少し雰囲気を変えて、市政に関連した話題を取り扱っていきたいと思います。普段より長く、読むためには少し時間もかかるかと思いますが、お手すきの際に読んでいただければ幸いです。

今回のコラムの表題にも入っている「若者がチャレンジできるまち」という文言は第2期浜松市”やらまいか”総合戦略の基本目標1に掲げられ、市議会等でも度々取り上げられている言葉です。このように、若者に関する項目が市の総合戦略の基本目標の1つ目に掲げられていることは、浜松で様々な活動を行う若者の一人として大変嬉しく感じていますが、その内容に目を向けてみると残念なことにあまり若者(特に高校生~25歳程度の年齢層)のチャレンジに結び付くものではないのではないかと個人的には感じております。今回のコラムでは私の普段の活動と近い主権者教育や若者の社会参画といった文脈にも関連させながら、浜松市の若者向け政策・施策に関する私たちの考えをお伝えしていきます。

産業重視の若者向け政策・施策に対する疑問

先ほどご紹介したやらまいか総合戦略の基本目標1を詳しく見てみると、そのほとんどが産業に関連した政策・施策であることがすぐにわかります。このような政策になっている背景は、静岡県の調査により静岡県出身者が就職時に出身地に戻らなかった理由として、仕事に関する回答が特に多かったということがやらまいか総合戦略内で説明されています。また、浜松市議会の議事録を見ても「若者向け施策=産業をもとにした施策」という認識は根強いように感じられます。これは一見すると筋が通っているように感じられると思いますが、私にはこれを見たときに2点の疑問が浮かび上がりました。1点目の疑問は、この政策は若者向けの政策であるはずなのに、ここで掲げられる若者が浜松に戻らないという課題は多くの若者(とりわけ、市外に転出していく若者たち)にとってはある意味で「どうでもいい、関係のない」ものであって、「若者がチャレンジできるまち」にするための施策というよりも、地元の産業を守るための施策ではないかという点です。確かに、浜松の産業を守っていくことは非常に重要ではありますが、それは若者に向けた政策というよりもむしろ、基本目標3の「持続可能で創造性あふれるまち」で考えられるべきことではないでしょうか。本来この項目は、まず若者の視点に立って考えられることが適当であると私は思います。しかし、結局それは二の次、三の次にされているのです。そのような政策を若者向けとすることには違和感を覚えざるを得ませんし、何よりそのような政策が若者たちにとってどれほどの訴求力を持つのか、甚だ疑問です。続いて2点目は、産業と土地のつながりが年々弱まっていく現在において、この政策にどれだけの効果があるのだろうか、という点です。この基本戦略が策定されたのはコロナ禍の前ではありますが、その時点からリモートワーク等の土地に依存しない働き方が普及し始め、世界のどこにいても仕事ができる環境が広がりつつありました。そして現在では、皆さんご存知の通りそのような風潮は一気に広がりを見せています。その状況下で、浜松への定着を促進するための政策が産業一辺倒のものでは不十分であることは明らかです。以上2点の理由から私は浜松を「若者がチャレンジできるまち」にしていくためには政策を転換していく必要があると考えています。

「若者がチャレンジできるまち」にしていくためにまずすべきこと

では、真に「若者がチャレンジできるまち」にしていくためにはどのような政策を打つ必要があるのでしょうか。この問いに対する私の考えは、まずは若者の視点を政策決定の場に取り入れ、そのうえで産業のみならずさまざまな観点から政策を立案し、実行していくことが必要、というものです。従って、まず現時点で取り組むべきは若者の視点を政策決定の場に取り入れるための環境を整備することだと考えられます。しかし、環境を整えたとしてもそこに若者が参加しなければ意味がありません。様々な方々が指摘しているように、若者の社会に対する関心は低いと言わざるを得ない状況にあるからです。そうなると主権者教育などを通して社会参画意識の醸成を並行して行う必要があるでしょう。この主権者教育に関して、浜松市議会における平成30年2月定例会の3月9日の自由民主党浜松の須藤京子議員による一般質問において非常に重要な言及があったため、そちらをご紹介します。

以下引用

須藤議員:
続いて、質問の2番目、主権者教育のあり方について、山下市民部長に伺います。
 これまでも主権者教育については、幾度か議会質問で取り上げられてきましたが、そのほとんどは学校教育の中での扱いに関するものでした。
 学校教育の中で、基礎的な知識として行うことも大切ですが、実際には、若者たちがどのようなまちづくりを望んでいるのか、将来に何を期待しているのか、現在の暮らしの中での困り事は何なのかなど、政治に関心がないと言われる世代の意見を政策に反映できるような取り組みが、政治をより身近に感じられる主権者教育ではないかと考えます。
 浜松市では、学生ボランティアグループが、さまざまな活動を行っていると聞きました。そこで、学校教育の枠を超えた若者に向けた主権者教育に取り組んではいかがかと考えます。それについて2点伺います。
1点目、平成29年4月に学生ボランティアセンターがオープンし、学生ボランティアの拠点となっています。その活用状況と学生ボランティアセンターの評価について伺います。
2点目として、学生ボランティアセンターを活用した主権者教育など、今後の展開についての見解を伺います。

(中略)

山下市民部長(当時):
次に、御質問の2番目の1点目、学生ボランティアセンターの活用状況及び評価と、2点目の主権者教育等の今後の展開については関連がございますので、一括してお答えいたします。
本市では、学生による社会貢献活動の一層の活性化を図るため、平成29年4月に、浜松市市民協働センター内に学生ボランティアセンターを設置いたしました。センターでは、ボランティアに関する情報発信や相談対応、研修会の開催などを行っており、その運営の全てを学生が担っています。本年1月末時点において延べ1511人が利用し、学生のほか、社会人や高校生の来場もございました。
次に、評価でございますが、センターを設置したことで、ボランティアをする学生が他の世代と交流・連携する機会の増加につながったと考えます。また、センターでは相談対応も全て学生が担っており、活動などに悩みを抱える学生が、気軽に相談できる窓口ができただけでなく、対応する学生の成長の場にもなっております。
 学生がボランティア活動を通じて多様な主体とかかわることは、社会を構成する一員として、他者と連携・協働しながら主体的に地域課題の解決などに取り組む力を養う主権者教育につながるものと考えます。
今後は、より多くの学生にボランティア活動に関心を持ってもらい、センターを利用していただけるよう働きかけるとともに、社会人や高校生の利用がさらに増加するよう、広報活動に力を入れてまいります。
また、相談対応スキルを向上させるための研修会を開催するなど、学生による学生支援機能を充実させるとともに、学生の柔軟な発想を引き出し、その発想を活動につなげるための支援に努めてまいります。

(中略)

須藤議員:
2番目、主権者教育の取り組みについてでは、市民協働センターに拠点を置く学生ボランティアセンターで、学生が自主的な活動を行うことが主権者教育につながるとの御回答をいただきました。そこには高校生や社会人の参加もあると聞き、今後の活動が期待されます。若者たちがボランティア活動に高い関心を持つことは、NPOなどが主催するさまざまなイベントに学生の参加者が多いことからも感じられるところです。社会の課題、地域の課題に関心を寄せる若者たちがいることは、浜松の未来に光を感じます。
2月4日、市内高校生や大学生の有志による実行委員会が、はままつ若者円卓会議を開催しました。残念ながら、私はインフルエンザのために参加できませんでしたが、27名もの高校生、大学生たちが市議会議員や県会議員に呼びかけて、ワークショップ形式で意見交換を行ったと聞きました。そこでは、若者たちの柔軟な、まちづくりへの思いや提案が多く出されていたと聞きます。若者たちの意欲を喚起するためには、まず、集う場があること、意見を言う場があること、それを聞いてくれる大人がいることが必要な条件であると考えます。
愛知県新城市の若者議会や、福井県鯖江市の女子高校生による新しい企画やアイデアを形にしようとするJK課の取り組みなど、他都市でも若者たちの柔軟な発想を市政に生かしたいというと取り組みはあるようです。
今後は、浜松の未来を託す若者への支援として、主権者教育の機会を数多く設け、彼らの声に耳を傾けていただけるように要望いたします。

引用終わり(引用元:https://ssp.kaigiroku.net/tenant/hamamatsu/SpMinuteView.html?power_user=false&tenant_id=405&council_id=843&schedule_id=5&view_years=2018 ,取得日2020.06.27)

以上の一連の質疑において、私が特に重要だと感じた箇所は下線を引いた2箇所です。1箇所目の須藤議員による発言はまさにその通りであり、このような意識を持っておられる議員が浜松市議会にいることを大変嬉しく感じております。須藤議員の指摘通り、「主権者教育」というと学校教育の枠内で論じられ、選挙に関する知識を教えることばかりが重要視されてきたように感じます。しかし、それだけでは効果が薄いことは選挙の投票率等を見れば明らかでしょう。ボランティア活動などの社会参画を通して若者の意見を吸い上げつつ、より実践的な、広い意味での主権者教育を行うことが肝要であるでしょう。重要だと感じた箇所の2箇所目に関しては、「学生が自主的な活動を行うことが主権者教育につながる」ということを市が明言したことに大きな意義を感じます。その一方で、そのような認識がありながらもなかなか政策に反映されていないことは残念に思っているところです。

具体的にまず何をすべきか

ここまで、「若者がチャレンジできるまち」に関して意見を述べてきましたが、具体的にどのような政策を実施すればよいか、2つほど案を提示したいと思います。1つ目の案は市内の生徒や学生、若い社会人に対して社会やボランティア活動等々に対する意識や参加度調査を行うことです。このような調査を行うことで市内の若者の現状を知ったり、社会参画意識の高い人に共通する特徴を見つけ出したりすることに繋がり、その後の政策決定に大いに寄与すると考えられるからです。2つ目の案は正式な政策決定の場に参加する若者の数を増やし、その意見を政策に反映し、それを「若者の意見を取り入れた例」として紹介することです。浜松市では、昨年度までの浜松市”やらまいか”総合戦略推進会議に学生FRESH代表(当時)の小笠原さんが参加しています。これはとても先進的で良い事例だと感じますが、議事録と実際の総合戦略を見る限り、あまり彼の意見が反映されているようには感じられず、若者が参加しているという事実を作る為だけに呼ばれているような印象を与えかねません。また、その場に学生がいるという事実に関しても周知は進んでいません。浜松市で若者が実際に政策決定の場に参加し、政策に反映されているということになれば、多くの若者に自分たちの意見を言う勇気を与えられるのではないでしょうか。

まとめ

以上の私の意見をまとめると、
① 現行の「浜松市”やらまいか”総合戦略」の基本目標の「若者がチャレンジできるまち」に産業以外の視点を取り入れていく必要がある
② 「若者がチャレンジできるまち」にするためには、まず若者の視点を政策決定の場に取り入れると同時に、広義の主権者教育などにより社会参画意識を醸成していくべき
③ ②を実現させるための具体案として、若者へ調査を行ったり、実際に若者を政策決定の場に呼び、それを広報したりするとよいのではないか
といったところでしょうか。私たちもここに書いたことを実現できるように、若者の立場から様々な行動を起こしていきたいと思います。
乱筆拙文でしたが最後まで読んでくださりありがとうございました。もしこのコラムに関して質問や意見等ありましたらお気軽に山口までお寄せください。今回のコラムが浜松市の更なる発展に繋がることを祈っています。

参考資料

浜松市”やらまいか”総合戦略 https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/yaramaika/sogosenryaku.html

浜松市”やらまいか”総合戦略推進会議 https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/yaramaika/suishin.html

浜松市”やらまいか”人口ビジョン https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/yaramaika/vision.html

浜松市議会 https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/gikai/index.html

コメント